鎌倉の寺は、谷の奥まったところに
あることが多い。中学生のころに永井路子の文章を
読んで、その特徴がよくでている寺として
妙本寺にいってみた
鎌倉駅東口のロータリを右斜め方向、つまり逗子の方向といったらいいだろうか
すすんで、若宮大路にでたらそれをつっきり郵便局の横を
駅を背にする方向に歩いていく。そうすると若宮大路とほぼ平行にある
大町通りにでる。通りを右折して、滑川の橋をわたったら
妙本寺の入り口がある
見えてきた門に向かいどんどん行くと、両側は民家だ。それは門を
すぎても続く。しばらくいって、左に方丈門があるところまでくると
両側は、雑木林になる。この雑木林がすごくいい。緑の色は自然で
濃く、そして、ここまではいってくると「静けさ」がある
鎌倉時代の初期、比企の館があったころからこの緑はかわらないのでは
ないかと思う
永井路子が、谷の奥まったところにあるせいか、鎌倉の寺はほんとうに
静かだといってる。もちろんのことだが、参拝客にうるさいおしゃべりがいれば
静かなということはなくなってしまう
幸い、昨日は天気がいかにも雨がふりそうというような具合だったせいか
日曜日でも、人影は少なくて、カメラマンが二人くらいだった
静かだ
鎌倉の寺に来て、望むのはこの静けさだ
思わず、もっと別の寺にもいきたくなる
常栄寺、安養院とすぎるが、境内がだいたい入り口からみわたせる
ような感じなので、通り過ぎる
ふと、妙法寺という寺の存在に、道案内の看板から気づく
入り口までいってみると、かすかに一度はいった覚えが
あることに気がつく
さきほどの妙本寺が、比企が谷のなかだが
それに対して、ここは松葉谷と呼ばれる
日蓮が、鎌倉で初めて草庵をむすんだところという
ここでは、妙本寺のような谷へのアプローチのような
緑はあらわれず、本堂のまわりの手入れの行き届いた
庭、そして右奥の仁王門、そこから伸びる苔むした石段に
目がいく
階段をまっすぐのぼりきったところに、草庵のあと
さらに山頂にあがったところに、護良親王御墓があった
この山頂からは、鎌倉の海、材木座の市街が見渡せた
この風景をみるのに、ひとしきり坂をあがってくるのは
なかなかいいと思った
こうして、谷をのぼって、濃い緑の中を歩いたり
古い草庵あとをみたり、歴史のひとこまにタイムスリップしたく
なるような、ストーリィをもった場所にいくと
うまく、日常を忘れて、歴史好きな学生になったような
隠れ家で、隠棲するのにあこがれてる人のような気分に
ちょっとだけなれた
楽しかった