幼いころの思い出

横浜の南に住んでいた
海からもそこそこ近いはずなんだけど、海の方向には
大岡の丘があって、視界をさえぎっていた
それでも静かな昼下がりとか、夜とかどうかすると
汽笛の音はしたのです


いまでもそうだと思うけど、横浜港に停泊してる船は
新年を迎える午前零時に、一斉に汽笛を鳴らします
それが聞きたくて、零時の瞬間は自分の部屋で
窓をあけていました


自転車が好きで、いろいろ走り回りました
近くの道を覚えたのは、自転車でということが
多いです
汐見台という町があります
団地と呼ばれた、社宅とかが並んでいます
その一番高いところに鉄柱があってその
足元まで上ると、海が見えました


その汐見台から、上大岡と反対におりていって
ちょうど屏風ヶ浦のうえというか磯子から杉田に
向かう、丘のいわば尾根線のような道筋をたどるところを
ちょいと右に左にはいると
きれいな夜景がみえるところがあって(もっとも
車はとまってはいられない)そこも何度か
見たくて
いってみました


高台から見える海というのにずいぶんあこがれていました
それは、ユーミンの「海をみていた午後」のような
横浜の一番海を感じるためにいいところを切り取った
絵のようなイメージが私にもあって、海がみれると
まるで、なにかが変わって、自分が幸せに
なるように感じたりしたのです


車に乗るようになってからは
三浦あたりの海岸で、海をみながら過ごせる場所を
ドライブしながらさがしました
いまは少し事情はかわったかもしれないですが
自由に車をとめておける、海辺ってほとんどなくて
有料の駐車場になっているのがせいぜいです
それでも、海をまじかにみれるならいいのですが
そこそこ、いい時間はみんな混んでいます


葉山の御用邸をすぎて、長者が崎をすぎ、少し
いった左側に、かわいらしいカフェがあって
お気に入りでした。確か「花ランプ」という
店でした。残念ながら、もうないと思う
そうした、自分で気に入った店をさがすのが
楽しかった


だんだん、社会人になり、年齢も重ねていって
そんなふうに、自分のこだわりだけで、店をさがしたりが
減ってしまいました
でも、こうして思い出してみると、やっぱり
お気に入りの、景色や店、そうした空間をさがしているのは
とっても楽しい、自分にとって、いい時間だと
改めて気づきます


幼いころ、そして青春のころ、ずっと自分のなかの
気に入ったことをつなげていっていったら、やっぱり
面白いなと思います