ホイッスラー展を見る

絵は、芸術のために
そういう、コンセプトを言い続けたという
ホイッスラーという19世紀の画家の回顧展を見ました


「灰色と黒のアレンジメント №2 トーマス・カーライルの肖像」


この絵が、目に飛び込んできました
色調はおさえて、構図におそらく、気持ちをもっていく


自分で言っています
日本画がそうのように、色は多彩なところにいくのでなく
同じものの、くりかえしの表現であるべきだと
また、浮世絵の影響というのですが、遠近法によらない
対象を強調する絵


人物画にしても、風景画にしても、その対象を、おそらく
画家の視点で一番美しいと思える構図で描く
いいと思いました


ノクターン:青と金色 オールド・バターシー・ブリッジ」


歌川広重の京橋竹がしという作品を、参考に横にならべていました
展覧会の解説に、ホイッスラーは、そのとき、ブームがきていた
日本へのあこがれとか、たんに、エキセントリックなところを
やってみた、なんていうことにとどまらずに
自分の、絵、芸術の柱としての、栄養を日本画から吸収した
という書き方をされていました


前に読んだエッセイ、「風のかたみ」のなかで
ヨーロッパに渡った、高田博厚
ピカソが、日本にはホクサイという画家がいて
100歳になったら、自分の絵が描けるかなといったそうじゃないかと
自分の進む道を模索する高田を、はげましたという話が
載っています


ピカソを、ゴッホを、モネをあこがれさせ、大きな影響を
与えたという、日本画、日本文化。そうした流れの
ひとつの成功者として、ホイッスラーが見えてきました


おそらく、バーナード・リーチが感じたような
西洋だけの文化のいきづまり、そして東洋もまた
刺激があるほうがいい、という感覚が、ホイッスラーの
なかでもあって、そのことを、自覚しながら自分のアートを
思い続けた人なのではと、感じました


図録の表紙にもなってる、愛人、ジョーを描いた
ホワイト・ガールにも、うちわとか、染付のつぼが
描かれていますが、それは、そうしたアイテムを強調したい
ということでなく、女性の美しさ、また、全体の表現のなかで
調和してると言っていいのではないかと感じます


日本が好きだし、19世紀に花開いた、印象派をはじめとした
アートが好きです。そうした、力強い双方のエネルギーを
しっかりとりこんで、独自のアートをめざしたひとりの画家が
迫力をもって、迫ってきたって感じがします