古都

中学生くらいだったと、思います
鎌倉を愛でる、そういう文章を、ハードカバーの序文で
永井路子が書いていたのですが、その言葉に、あこがれて
鎌倉を、ずいぶん、歩き回ったのを、覚えています


鎌倉は、京都、奈良に比べて、武士の街ということで
いくさ、が多い。それでも、鎌倉の寺であり
町の風光は、京都や奈良に比べて、すこぶる明るいと
つづってあったと思います


寺を、愛でています
私が好きな寺でいえば、瑞泉寺であり、光則寺とかなのですが
谷、やつ、とよばれる、谷を背にして寺があり、奥にいけば
町の喧騒をすいこみ、とても静かな空間があると、長井は言います


はたして、本当にそうか、ということで、寺に出向いて、ひとりで
静かさを、味わいます


この谷のしかけが、鎌倉の場所に合っていたといっていいでしょう
思えば、一部を除いて、京都、奈良の寺、特に名前のある大寺と
なれば、街の真ん中にあるのです


奈良、元興寺。ここは、いまならまちと呼ばれる
その町がそのまま、境内だったのだろうと、思える寺です
興福寺の境内にしても、大部分、市街地にあります
どうやら、奈良のいまの市街は、そのふたつの寺を
つぶして?できたといっても、いいかもしれません


古都、というのは、風情が独特のようです
新しい街にはない、歴史があり、ずっと人々が生きてきた
という、積み重ねが、そう思わせるのでしょうか?


鎌倉でいえば、やはり、寺にそれを、感じます
鎌倉駅から、ほどちかい、妙本寺。門からはいって
雑木林がはじまる、参道を行くと、おそらくは
数百年前と同じ、空気があるのではないかと、感じられる
凛としたものが、あります


奈良でいえば、道、のように、感じます
司馬遼太郎が、「街道を行く」のなかで
東大寺二月堂から、大仏殿に行く、坂道を
好きだと書いています
その道、土塀が領外にあって、やっぱり、空気というか
ずっと、あった道、千年を超えて、ここにあるという
重みが、自然と、気持ちにはいってくると思うのです


古都の風情は、気持ちを落ち着かせてくれる
いろんなことが、あると、感じます
古都はいい。日本はいいです