絵を話してみる

先日ごくごく、親しくしてる、家族ぐるみのつきあいを
させていただいてる人と、食事をしてるとき
アートの話をしたのですね


お互い、東山魁夷が好きというのがわかり
ちょっとだけ、しったかぶりをさせてもらいました
「年暮る」という作品があります
これは、京洛四季という連作のなかにありますと
伝えました。そして、この連作は、川端康成の依頼で
できたということも、しゃべりました


京都の美しさがどんどん、失われてしまう、いまのうちに
あなたの筆で、京都の美しさを描き残してほしい、そういう
願いを川端からうけて、東山魁夷が描いたという絵です


私も、年暮る、から、はいったのです
この絵のなんとも、なつかしく、心をじわっと、させる
なんていうか、日本の原風景というのでしょうか
ふりつもり、雪の下にある、それぞれの家で、団らんがあり
そのあたりまえに見える風景が、かけがえのないもの
素晴らしい元と、わかる、そういう風景。なにげなさのなかに
ある、素晴らしさを表現したもの


美しいもののうち、心にしみるようにいいものは
実は、はでさとは、真逆、ありふれてると見えるものに
かんじさせる、じんわり澗といったことがあるのでは
ないでしょうか


今年、5月いっぱいで、閉館し、改装にはいるという
東山魁夷美術館の話もしました
その話がもとで、親しくしてる人は、どうしても
みたいと、日帰りで、5月のある日、善光寺の横にある
美術館にでかけたと、便りをいただきました


一冊の本を目の前にしています
東山魁夷と旅する、ドイツ、オーストリア


扉をあけてみると、ドイツ、ロマンティック街道に
ある、ローテンブルグという町の、町を囲む上下器にある
門番小屋を描いた、「窓」という作品にちなんだ
エピソードがありました


この「窓」は、上記にある、東山魁夷美術館に展示されていて
なぜか、その歴史を感じる、絵に足がとまりました


はでさはない。ただ、何百年という時間がながれる
なかで、おそらく相当な数の人が訪れ、そして、そこで
憩をもったであろう、その場所が、いいなと思えたのです


あるときまで、絵のことを、人に伝えるなんて
そんな難しいこと、とても、できないと思っていたのです


確かに絵の素晴らしさを、言葉で、十分に伝えるなんて
芸当はいまでも、とてもできないのですが、周辺の話は
少しできます


作家の東山魁夷がどんな気持ちで、この絵、この絵の場所に
来て、どんなふうに、描いたかなんて想像するとか
いいえ、絵をみたときの気持ちだっていいでしょう


相手が、絵を愛でる人なら、そこから想像して、自分の世界の
絵を、みてくれるのです
それでいい


言葉で、アートを語るなんて、ちょっとそれは、難しすぎ
ですけど、絵が好き同志の情報交換にはいるなら、できるんじゃないかな