東山魁夷のブームが去年から、来ています
ひとつには、長野県立美術館、東山魁夷館にて
東山魁夷の、肉筆の日記を読んだということが、あります
よく知られてることですが、東京美術学校在学中の20代の東山魁夷は
兄や友人と、木曽の山々を、キャンプ旅行したことがありました
そして、その旅行でみた、山々の美しさが、後に、東山が風景画家として
立つ、山の美しさを認めた、最初の機会だったというのですね
日記のなかで、東山魁夷は言います
この旅行、キャンプ旅行は、自分がいなければ、成り立たなかったでしょうと
この文章は、父母にあてた、手紙といっしょになり、そのときの
若い、正直が気持ちがつづられてるのだと、感じる文章でした
東山魁夷、天才といっていい、画家なわけですが、このキャンプ旅行の
前は、健康にいまひとつ、自信をもてなかったこともあって、自分が
どれほどのことができるのか、若い人なら誰でもがもつ、不安を持って
生きていたのだと、感じるそういう、若さ、不安、頼りなさを
伺える、そんな自分がいたことを、認め、父母に安心してもらう意味も
あるのでしょうが、ずいぶんと、この旅行で、自信を得たという
書き方をしていたのが、印象的でした
父を亡くし、母を亡くし、自分には妻以外、もう身内がいないと
なげいている、東川の戦後直後の手記があります
また、終戦後の日本ということもあり、自分にはたくわえも
住む家さえない、と、どん底の自分というのを、感じてると
続きます
そのなかで、けれど、もうこれ以上落ちようがないと
開き直り、絵を描いていこうという気持ちになると
書いています
もしからしたら、こういう開き直りも、その奥底に、木曽の
キャンプの思いもあったのでは、と想像してみます
10代や20代における、自信をもった、なにかしらというのは
その人のあとあとの、人生を左右するなにかになるということが
とても、あるように、思います
今年、いつものように、寒いなか、歳があけました
今年、自分はどんな仕事ができるだろう
変化を恐れず、チャレンジをどこまでできるだろう
東山魁夷の、生き方を、垣間見て
少し、その挑戦の具合にあやかり、今年もいい年にするぞと
誓って、歳のスタートの思いを、自分に刻みたい