アーティストが、感じたことを、なぞってやってみる
ということに、楽しみを覚えています
小説家、永井路子が描いた、現代小説「あかねさす」が
好きでした。永井は歴史小説が有名ですが
あかねさすは、現代、それもおそらくは自分と
そんなに変わらない、年齢の女性を主人公として
描いた小説です
あかねさすは、一面、奈良県明日香村をとりあげた
ご当地小説という面もあります。奈良に行くと行く場所
明日香の甘樫の丘です。この甘樫の丘には、蘇我馬子の
屋敷があったといいます。そして甘樫の丘のすぐ真下
屋敷があったとしたら、まさに見下ろす位置に
あるのが、伝飛鳥板蓋宮があった場所があります
小説のなかで、臣下のはずの、蘇我の館が天皇の住まいを
見下ろす位置にある?あれれ、といった話があり
実際それを、みてみたくて、行きました
また、甘樫の丘は、大和三山、畝傍山、天野香久山、耳成山を
見渡せる、展望地としても、いい場所です
その明日香がよくて、20代、30代と何度か訪れて
小説の場所、を見てみるという楽しさを知ったのです
その楽しみは、旅行に行ったときに、気に入ってる画家の
描いた場所を訪ねてみるということにつながっています
はっきり意識したのは、安曇野に通うようになって
安曇野をくりかえし描いた画家、山下大五郎の作品をみることが
大きく、心を動かしました
山下さんの、息子が一度、北アルプス展望美術館においての
回顧展の解説で、書いていました。「父は、絵を描きに安曇野に
いく、その行く途中、はじまりから、とても楽しそうでした」
つまり、絵を描くのは、実際筆をもって、その風景の前にたつ
その準備、自宅をでて、その場所いいくまでも、絵を描くのと
同じ心があったということのように思います
山下の描く、安曇野は、広く、色彩豊かで、こんなふうな
見え方、こんなふうな安曇野を、ずっととっておきたい
ずっと、みていたい、と思わせてくれる、なんでしょう
見過ごしてしまう、日本のよさを、描きとどめたといっていい
作品に思えます
こうして、小説家、画家がパイロット役になって、自分が感じたいものを
さがす、指標のように存在してくれる、このことは、本を読み
絵をみる楽しみを、ふやしてくれます
作家、画家が、どうして、このシーンをこちらに伝えたいか
その美しさに、どう心が動いたか、想像する楽しみが、あるのです