美人画

コートールドコレクション 東京都美術館
エドゥアール・マネの傑作、フォリー=ベルジェールのバー
を昨年の秋にみて、ぐぐぐっと、ひきよせられる
思いがしました


ご存じの方は多いのですが、これ、鏡のトリックがあったりと
なにかと、話題を呼ぶ作品だろうと思います
それはそれ、として、この美人の表情に言ってみれば、釘付け
っていいたくなるくらい、見たのです
よかったのです。


少し時間が経過して、今年の1月だったと思います
東京国立近代美術館にて、鏑木清方の、三部作
浜町河岸、築地明石町、新富町をみました
展示のあった、左から、浜町河岸・・・となって
左の浜町河岸の女性が一番若く、中央の明石町は
中間、そして、新富町の女性が一番年齢が上と
見ました
それぞれ、良さがあるのですが、私は、おそらくは
見た瞬間から、マネの女性と、新富町の女性を
頭のなかで、比べていたのです


もちろん、場所もモデルも、なにもかもちがう
でも、「表情」が、部分的かもしれないですが
いいえ、正確にいえば、表情が伝えてくる、「憂い」
だとか「生きよう」といった、ことが似てると
見えたのです


ときどき、一定の歳を重ねた、女性だからもてる
そうした、雰囲気。雰囲気から伝わってくる、やさしさ
また、安堵感。でもそのやさしさは、まあ「話を聞く」
という段階では、もちろん、時間を忘れて、相手しましょう
でも、そこまでよ、と言ってるような、自分を律する
強さもある


こうした、女性は、憂いを帯びた表情のなかに
しっかり、生きていくぞという、強さがあるように
見えて、ぐぐっときます
この「強さ」がなければ、「生きよう」ということが
なければ、おそらくは魅力は半減でしょう


こうして、マネと鏑木清方が、つながっていって
そして、「美人画」ということが、気になりました


鏑木清方と、同時代に活躍し、女性としてはじめて文化勲章
うけた、上村松園、がいます
上村松園の、回顧展、実際、10年か15年まえ、やはり東京国立近代美術館
みたことを、思い出します
そして、今年の2月、山種美術館で、上村の「新蛍」「夕べ」という
作品が、並んで展示してあるところで、やっぱり「釘付け」でした


全身をあえて、みせない。そうかといって、日本のすだれという
半分見えるものを通して、見せてる
すだれを、手でおさえて、見えたところの、奥ゆかしさ


「奥ゆかしい」って、こういうことに使うんだって、なんて
日本語って、素敵なんだだとか
女性の、こうした、「抑制のきいた」「誇りをもった」
「凛とした」「人をひきつけずにいられない」
魅力、魅力、魅力。


美人画にだいぶ、はまってきました