北のことを思い出す

もう6年も前になるだろうか
知床半島を旅してみた


飛行機で、女満別空港に降り立ち
レンタカーで、北海道のどこまでも広いという
感じがするまっすぐな道を走った
海辺のお花畑をかすめながら
いくつも瀧をみた
瀧は、絶壁の壁から海へ直接流れ込んでいた


知床半島って、いったことない人もたくさん
いるかもしれないけど、ちょっと大きさを想像するには
伊豆半島を思い浮かべたらいいかもしれない
もっとも、面積は伊豆半島のほうがずっと大きいと思うが
長さはさほど変わらないように思う


伊豆半島でいえば、小田原の位置に、知床のほうは斜里という町が
ある
だいたいのところ、伊東の位置に、ウトロ、そして土肥くらいだろうか
反対側のまんなかあたりに羅臼がある
だいたい、ウトロと羅臼を結ぶ、国道より先は、基本的に人が住まない場所だ
熊が多く生息している


知床にいって、目をまんまるにして驚くのは
例えばウトロの町を、のんびり鹿が歩いていることだろう
鹿はあちこちでみれる。蝦夷しか。見た目は本州にいる鹿と
かわらない
小鹿のかわいさは特別。ふさふさとしたところを
なでてみたい。もっとも野生の鹿だからそうはいかないのだけど


自然、本当に手付かずの自然がある
さきほどもふれた、ウトロから羅臼を結ぶ国道の
羅臼岳の上り口になるところから、羅臼湖をめざして
歩いてみた
見たことのないトンボにであい、羅臼湖のほんとうに
人の手がはいってないなという景色をながめて
しばし、命の洗濯をした


朝、ドライブすると、牡鹿にあえるかもという言葉に誘われて
朝、走ってみた。車のほんの数十センチのところを
立派な角をもった牡鹿がいた
そして、ウトロの優美な海岸線をいつまでもながめていたくなった


何年たっても、鮮明に心に刻んだ場所は、その鮮明さを失わないように
知床を思い出すと、そんなふうに信じられるのだ