不器用でいい

梅雨の中休みの太陽は、若くして旅立った仲間を思い出すことになる
暑かった。きっとあの日は暑すぎたのだ


不器用だけど、それだけのまっすぐ。ごまかしはなし
きっちりしすぎるほど、自分をみつめて、自分への妥協が
すくない。そんな少し窮屈な生き方を、旅立ちからたどって
うーん、人間ってゆるーいところがないといけないななどと
思いながら、涙をふいたのです


クラブでおおハッスルした
仲間ができた、コンパをした。恋をした
10代の真剣な恋。それは人生の宝といっていい
素晴らしいものだけど、きっと未熟な心を翻弄しただろう


不器用な生き方
それは実は素晴らしいともいえる
万葉集の世界にあこがれて、明日香の村を歩き
大和三山をみたり、きっと古墳や田んぼを見たりした


大学を卒業してから、読んだ、永井路子の「あかねさす」で
その仲間がたどった道に近いところを主人公が歩くのが
でてきて、自分も歩いてみた
甘樫の丘、飛鳥寺。そして山田寺のゆかりのもの
興福寺の仏頭。


旅にでて、歴史にふれてその地を思うのは、そうした道筋が
あってのことだ
それは、どんなに私の人生を豊かにしてくれただろう
いま、アートの世界を少しかいまみて、画家が描いた風景を
見に行って、その思いをはせるという楽しみを覚えたのだが
それは、歴史散歩といっていい、明日香からはじまる
旅の楽しみを知っていたから、できてるともいえるかもしれない


20歳で、燃える人生を送った、仲間はずっとあこがれの存在となった
虹をわたっていった仲間には、どうにも心の中で会話する
くらいしか、アプローチの方法がない
だから、あこがれは強くなる
いま、その仲間が生きていて、たとえばこれからでもメールで
やりとりなんてできちゃったら?とたらればの話は
楽しい。どんなだろう。きっといまずっと仲間と思ってる
何人かのつきあいがもっと濃くなるだろうか


生きるのは不器用でいい。めげないということができればいい
不器用だから、気づくこともあるさ