等伯を読み返す

直木賞受賞の、「等伯」を読む
実際単行本で読むのははじめてだが
日本経済新聞に、2011年の1月から去年の5月くらいだろうか
連載されていた


画家という人生
安土桃山という時代
家族への思い
いろいろ、ひかれるところはあるのだが
長谷川等伯は、現在に残る名作を残した
いわば、美の巨人なわけだけど
その生きざまは、まさに「失敗しながら生きる」
といっていい
そこに一番惹かれる


小説だから、脚色しているだろう
しかし、おそらく生きざまは、まさにとらえている
ように思えてならない


比叡山焼き討ちをこの目でみて、人と人が殺しあう様の
おそろしさ、魔王と呼ぶ信長への憎悪。
そして、粘り強い意志をもちながら、いろんな誘惑に
まどわされ、名誉を得たいと、俗人が考えることに
翻弄され、それでも一歩、一歩、心の高さを
身に着けていく


失敗しながらということでは
主筋にあたる、公家のお姫様になんども、まどわされ
酒の席で勢いあまって、かっこいいことを言って
などという場面は、自分をみてるようで、まったく
面白いし、親近感もある


一方で、本質を見抜くために、何か月もかけて
対象にせまろうとする。相手にあったときに
その信仰の暑さ、生きる姿をしっかりうけとって
それを絵にふきこむ、迫力
そういう、生き方を、画家でなくても誰もが
するべきだと迫ってくるストーリィに
すっかりひきこまれていく


直木賞をとったときの安部氏のコメントに
まるで、等伯が世にでようとして、自分にのりうつって
かかせてるような気がしてきたと
書いてる
実際、いい仕事、一定以上集中して仕事をしてるとき
自分ではなく、なにかがのりうつって、どんどん
物事がすすんでると感じることがある


生きるってことは、ある意味、失敗の連続だ
でも、失敗してもめげないことが大事だと
また、この本をとおしても、思うのだ


昨年、この等伯がよくて、京都の智積院まで
桜図と楓図を見に行った
もう一度みたくなってる