対人援助

俳優という職業について、河合隼雄先生は、カウンセラーに相通じるところが
あるのですよ、という解説をされてることを、読みました
俳優は、言ってみれば、人の人生をいきるということに
なりますね
カウンセラーで必要な、共感ということに、くっついてくるんですといいます


カウンセラーとして、なかなか自分の心ではおさまりきらない事象に
あうということがあるんです、という話がありました
例をだして、そういうときに、小説であるとか演劇の世界に非常に
うまく書かれてるときがあるといいます。そういう世界を知ることで
自分の心におさまらない、ことについて、近づけるのだと言います


例、同性愛といったことについて語ります。ある男性が別の男性のことが
気になってしかたがない。ずっと忘れられない。どうかすると
自分は、学校をやめて、働いて相手の夢の実現のために、つくしてあげたい
などと、でてくる。そうしたことを理解、共感するのは容易ではない
大変なことだと言います。こういう、特殊な例にしても、小説や
演劇でたくみに表現してるのがあるんですとのこと。


2年ほどまえ、テレビでしたが、美輪明宏の半生を、演劇としてるのを
診ました。野田秀樹が脚本を書いて、宮沢りえが主演でした。
宮沢が演じる美輪は、悲しく、美しく、いいものでした。でもテレビで
みてる、いいえおそらくその場の観客だったとしても、宮沢が
どこまで、本当の美輪の生き方にせまれたかはわからないです
ただ、感じたのは、宮沢が感じた、美輪のどろどろしたところ
悲しくも、美しい人生を、宮沢は全身を使って、表現してる
そのことが、潔いというか、迫力をもって迫ってくる


ときどき、演劇の世界って、すごいなと思います
二十代のとき、手伝っていた、子供中心の演劇のサークルが
あります。そのとき中学生だった、仲間といまもたまに会います
彼女たちは、その多感なときに、演劇をとおして、自分を感じたのでしょうね
その後の人生に影響したのを感じます。仕事についても、趣味についても
なんらか、演劇、音楽など、文化、エンターテインメントに関わることを
しているのです。


カウンセリングの世界では、クライアントが、ひとつの自分の考え
世界、視点を、新たな考え、世界、視点とくっつけることで
治っていくということを、聞きます。このとき「似てる」
状況を認識できる、そういうことが大事なのでは、と河合先生はいいます


ある少年があまりに母親が、「勉強しなさい」とうるさいのです
そのストレスから、あまり自分としては、関わりのない、少女に
ワイセツな手紙を送ったりしてしまったといいます。そうしたとき
カウンセラーとしては、そのことを、母親につげるかどうか
とても、迷うのだとのこと。少年本人は、そんなことを母親に
言ったら、またどんな勢いで怒ったり、なげいたりする、そして
自分に言ったりしてくるだろうから、やめてくれ、と言います
でも言わなかったら、ものごとは前にすすみませんね
カウンセラーも迷い、悩む。本人も迷い、悩む。この「似てる」
状況が本人に気付きをうながすのだと言います


人を指導するのなら、ひとりの人の心に近づくことが必要です
それは「対人援助」に関わる人のイロハを知らないと、進めません
河合先生の教えをちょっとでもリアルに知るのに、もう一度
演劇の勉強がしたくなっています