アートの話

鎌倉の成就院は、最近はあじさいの寺として
有名になりつつありますね
高台にあり、その参道をのぼっていった、寺の門の前にて、登ってきた参道を
ふりかえると、紫陽花が見えるのと同時にその向こうに、由比ヶ浜の青い
海が見えます。何度かテレビでも紹介されましたから
ご存じの方も、多いと思います


鎌倉に行くという話を、友人がしてるのを、聞いて
だったら、「文覚」の像もみてきたら、と、おせっかいやきのひとことを
添えてしまいました


安曇野のシンボルといっていい、碌山美術館。明治の彫刻家
東洋のロダンと賞される、荻原碌山が、相馬黒光成就院の文覚を
見に来たことがあるというのですね


その本人、相馬黒光に、恋をして、いっしょにはなれないのに
恋をしつづけて、ついに、傑作「女」に自分の感情を昇華させて
おそらくは、そのほとばしるエネルギーが、荻原碌山自身の命を
燃えつくしてしまったように、思える、一連のストーリィ。


鎌倉時代の武士であり、僧の文覚さんは、やはり道ならぬ恋をして
そのことが?平家物語にでも、でているのだろうか
自分の恋の苦悩を、文覚の物語を知るなかで、少しは
客観視できたのだろうか


伊豆やおそらくは、鎌倉にも縁があった、文覚の像が
成就院にあるのは、なぜかまでは、よくわからない
荻原碌山は、文覚を見たのは、確かで、自分でも文覚の像を
作る


安曇野は、もう自分にとっては、相当特別な場所なのだけど
碌山美術館の存在は、やはり大きいと思います


自分の感情を昇華させた、と解釈してみましたが
「女」という作品の、そのピュアな、迫ってくるものは
人が人を恋い慕うなんていうか、一番濃いところが、こういうこと
なんだと、訴えてくるような、そんな気持ちにさせるように
思います


そして、美術館のある場所は、北アルプスにいだかれるような
安曇野です。東山魁夷が、山下大五郎が愛して、その美しさを
表現しようとした、そんな場所にあるのです


先日もこのブログで、かつて鎌倉にあった、「松の屋敷」がもう40年以上
まえですが、信州新町に移築されていて、その姿を見に行った
話を載せましたが、碌山と文覚という意味でも、鎌倉と
つながっているようです


鎌倉も特別な場所ですが、近いゆえ、その特別さは、またちがっています
特別でも、安曇野の場合は、旅行先としてふれますから
より、美しいところのみ、ピックアップして、覚えられるということも
ありそうです


アーティストは、美しいものを追い求めて
その美しさを、凡人たる、自分たちにガイドするということが
ひとつの、役割としてあると、山下大五郎の解説で読みました
アートも、その作品だけでなく、土地だったり、縁ある人の
生き方だったり、ということが、料理でいえば、素材とスパイスの
ような関係で、アートを楽しむうえでの、大事な要素として
浮かび上がるように思っています


鎌倉と、安曇野。ずっと好きでいたいです