美しいもの

北アルプス展望美術館、ここからの眺めを、山下大五郎は愛でて
絵にしました。この安曇野の美しさを、山下という画家がその画家の
目を通して、こんなふうに美しいのだ、と、パイロット役をしてくれて
私たちに、美しさを、発見させてくれたのです


アルプスの少女ハイジ。アルプスのアルムのもみの木の山小屋に住む
おじいさんのところで、暮らすようになったハイジ。
それまで、おじいさんも、ペーターも見慣れていた、山々。
ハイジという少女の感受性を通して、「山が燃える」といった
山の美しさを、再発見していく


同じ、山
同じ美しさのはずなのに
ある人の感受性を通して、その美しさにまた、気づく
ということ
これは、素晴らしいことといっていいのではないでしょうか


画家が、ある風景、ある人物の美しさを描いて
その美しさを、受け取ることが一般人の私たちができる
画家の感性をそのまま持てないというのは
ちょっと残念と思うこと、も、あるのですが
一方、画家と「美」について、語ることができてるとも
言えます


東山魁夷は、唐招提寺の御影堂の襖絵を
描くということになったとき、鑑真和上の
あこがれた、日本の美しさを描こうということで
日本の、海と山を選びました


日本の海と山のなんと美しいことか


海、ということでは、私は、横浜に生まれ育って
海は、言ってみれば身近でした
もっとも、一番近い海、といえば、山下公園といった
人工の公園となってしまうということもあります


まだ、電車やバスに自分で乗ってでかけるというのが
できない、子供のころ、自転車で、丘を越えて、あそこなら
みえるかなといったところまで、いってみた
坂の上からの海。それが記憶にある
横浜からみる、海


東山魁夷がいうところの、海とはまたちがうのですが
自分の原風景のなかにある、横浜の海です


自然の海岸ということなら、やっぱり鎌倉あたりの
海が身近でした。これも一番最初は自転車。
自宅から自転車なら1時間ほどで、鎌倉まで行けました
元気なときは、七里ガ浜だったり、由比ガ浜が弧を
描いてるのがわかること、そんなふうなところを
海辺をなぞって走りました


海をみて愛でること、こんな単純なことが
うれしいこと、それは少年のときの、そうした行動に
もとがあるのかもしれません・・・