[]風景を心に残す

東山魁夷

唐招提寺の障壁画ほかで
日本の宝といっていい画家だ

その対談集、講演の記録である
「美と遍歴」のなかで

唐招提寺の鑑真和上が納められてる厨子の絵を
書いたときの心境が書かれている

鑑真和上が足掛け12年の辛苦の航海の末、
ようやく九州の薩摩半島の南端に近い秋目浦へ
到着されたその瞬間を主題にしたい

画伯は実際に秋目の漁港の背後の小高いところから
湾見下ろし、そのリアス式の美しい風景をみて
これはきっと鑑真和上のころから
かわってない美しさだと直感したと

そんな心境をかかれている

この話を読んで
実際、秋目浦にいきたくもなったが
小高いところから見下ろした美しい湾ということで
北海道知床の
ウトロを思い浮かべた

実際はちがうかもしれないが
なんとも、こころなごませる風景
どちらかというと、女性的といっていい
優美な海岸線をもった
ウトロがまぶたにうかんだ

画家が、美しいところを
永遠の瞬間として残すことが
できるなら

何度もみてみたい
そして

その芸術を感じたいと
思う