6月

1年ほどまえだろうか、外国人の建築家で、日本家屋の縁側がすきで
自らも京都の町屋に住んで、縁側を楽しんでるという
話をテレビでみた


確かに縁側という空間は、外のようで家のなかのようで、気楽に
近所の人とお茶を飲めるような場所でもあり
もちろん、家族だんらんの場でもあり、とてもいい感じだ


その縁側のおおきいやつ、お寺の建物にいくと、そうした場所があるものだ
そして、縁側でのんびり過ごすというときには、5月や6月といった
季節はある意味一番いいのかもしれないと感じた


暑くもなく寒くもなくというが、4月はやっぱりまだ風はつめたい
今年は5月も結構風がつめたいときもあったのだが、5月、6月の
初夏と呼ばれる季節は、湿気が多いことが気になるけど
外の空気にふれているのには、一番いい季節ではないだろうか


お寺の本堂の居心地のよさということでいうと
鎌倉の妙本寺がうかぶ
鎌倉駅東口から、東急スーパーを右にみながら路をすすみ
若宮大路をわたったら、そのままの方向東に向かう
ややしばらくいくと、若宮大路と平行する小町と大町を結ぶ
通りにでるので、そこを右にいきすぐある、滑川の川を
わたってすぐ左にはいる。あとは奥へ進む


この橋のところから、本堂までのアプローチがいいと
思ってる。先日、5月にいったら、ひとりでやってる
かわいらしい雑貨の店なんかもできていた
鬱蒼として雑木林がみえだす、途中からはおそらく
こうした風景は鎌倉時代からかわらないのではと思うような
緑の多さと、静かな空間が、気持ちをひきしめる


クライマックスは山門をくぐり、目の前の本堂がドーンと
せまるところだろう。この威圧感ともとれる
圧倒的な存在感の本堂はいい。
そして静かだ。ときにはこころない人が大声でしゃべっていたり
するのだが、そうしたことがなければ、街の音を谷がすいこみ
静かな時間を、楽しめる


本堂の縁側といっていい場所に腰かけて、鳥の声を聴く
初夏なら、うぐいすの声を聴くのはわりと普通にあることだ
鳥の声を聞くことができるということも、都会では
静かな場所の証明のようになっている


鎌倉にはあまりないのだが、日本のお寺というと
枯山水の庭を思い浮かべる人も多いと思う
一番大事な方丈の前に、枯山水の庭をおき
極楽浄土をえがいていたりする。鎌倉の場合
その代りではないけど、お寺をみたあとに、海を
ながめたりできる


実際のところ、駅から近い妙本寺から海まで歩いたら結構距離が
あるのだが、海をみることは可能だ。また、まじかに海岸におりて
海を感じるのもいいが、高台ののぼって、ひろがる景色のなかで
海をみるのも好きだ。鎌倉にはまだそうしたことができるところが
いくつかある


初夏に海をながめてみて、その色により、ああ、まだ季節が浅いんだなと
感じることがある。海の色はその温度によりずいぶんちがうようだ
そんなことを感じたのは、北海道を車で旅して、はじめてオホーツクの
海をみたときからだろうか


季節はうごく
できれば、季節の移ろいを感じながら
一日一日を大事にしたい