川合玉堂

2,3年前に、山種美術館で、「日本の原風景」といったテーマの
展覧会があり、川合玉堂の作品がよかったのを、思い出す
いま、同じ山種美術館にて、生誕140周年、川合玉堂の回顧展が
開かれている


山種美術館は、恵比寿にあって、その日は鶴見の我が家から、車で行った
首都高速汐入からはいって、平和島、浜崎橋ジャンクションとすぎて
環状線にはいり、高樹町のインターで降りる。日曜日だったことも
あって、首都高速を走ってる時間は25分くらいだろうか、気持ちいい


山種美術館は、広尾の丘にあって、恵比寿駅から歩いても10分ほどだろうか
一階には、ゆったりとした席のあるカフェなどあり、展示室は地下という
つくりになってる


渓雨紅樹


玉堂の作品には、パターンとして、自然を愛でる、テーマとなるものがあり
ちょこんと、人間の生きてる、生活環のある姿をかきこんでるのが
あって、それが好きだ


早乙女


田植えの風景で、これとかは、どちらかといえば代表作などからすれば
人物を結構正面にとらえていて、あまりない作風といっていい感じが
する。玉堂の筆のこまかいこと。田植えで植えられた苗のひとつひとつを
かき、あぜ道の様子の微妙な感じもでてる。田植えする人たちは
のんびりとしていて、ここちよさがひろがる


おそらく川合は、日本の風景、自然、人物と日本画での、スターといって
いい存在で、その細かさ、精緻な絵は、ずっと多くの人を魅了してきた
晩年住んだという奥多摩に、玉堂記念美術館があって、アトリエなども
みられるのだけど、確か20歳のころに、最初に訪れた
そのころは、絵を見る趣味がまったくなくて、その良さが目に
はいらなかったようにも思うのだが、何回かいっていて
川合の名前は、自分の頭に刻まれた


その20歳のころ、一番印象に残った絵が、彩雨という作品で
どちらかといえば、濃い、作品と思ってきた
ここで、改めて、玉堂の作品をいくつかみていると
その空間のひろがりであり、明るさ、光をふんだんにあびてる
いわば、生命を賛歌してるようなイメージの川合の明るさが
目に飛び込んでくる


画家は、ときにかなり強い葛藤のなかで、自分とあるいは対象と
戦って、その厳しさが画風にでたりしてるのに、出会うことがある
そういう意味では、川合の絵は、そうしたことを超えてる
おだやかだ


日本は、おそらく自然を愛でるという長い時間をかけて
つちかってきた、文化、心があるのだろうと感じる
ところが、いまのぼくらはそれを、忘れ去ろうとしてるのか
と感じることが、たびたびあり、ちょっと悲しい
川合の絵をみて、日本の良さに、憧れる
もしかしたら、あこがれのものは、もうだいぶ失われてしまって
手が届かないようにも、思えてくる
どうしたら、日本の良さを、少しずつでもとりもどせるだろうか