くすのき

木をみると、なにか、いいものが自分のなかに
はいってくる、という感じがします


15年ほどまえ、那須塩原に宿をとった、社員旅行があり
その宿のほど近くの古刹に朝、お参りしたことを思い出します
その古刹には、浦山といっていい、山が続いていて、散歩してると
とても、太い、樫だったか、楢だったか木々があったのです
その木のもとで、フィトンチッドを吸ったのです


京都、青蓮院門跡の入り口に、樹齢800年かと言われる
くすのきがあり、その姿に、足を止めました


このくすのきは、敬愛する画家、東山魁夷が連作、京洛四季の
なかで、とりあげています
絵の迫力もすごいのですが、目の前にしたときに
木のもってる力が、自分に迫ってくる、そういう感覚に
とらわれました


人間には、大事なことがいくつかありますね
そのなかで、「生きよう」「生き続けよう」と
思う心が、強く持ってる、そのことが、とても、大きな
ことに感じます


くすのきは、ずっとこの姿で、ここで、根をはっているのです
この事実が、心を打ちます。
私も、力強く生きるよ、だから、くすのきよ、あなたもずっとずっと
私を見守ってほしい、そう思わずにはいられない、なにか
「気」といったらいいでしょうか、感じるのです


青蓮院門跡は、参拝するのは、2度目でした
一度目に来た時も、このくすのきは、見てるはずなのですが
今回ほど、強く意識して、見ませんでした


東山魁夷さんの力でしょうか?


奈良の、山の辺の道、檜原神社の歌碑の場所にたって
大和のうつくしさ、うるわし、と歌った心を、少し感じることが
できました
このことも、その風景を愛でた、川端康成の人となりを、少し知って
その場所にいってみて、感じれたということがあります


どうも、作家であり、アーティストが、パイロット役をして
凡人は、その美しさ、その目を見張る、なにかを、感じることが
できる、ということがあるようです


三条通りから、坂をのぼり、くすのきがみえたときに
うれしかったこと。まるで、旧知の親しい人に会えたような
そんな心持になりました


なぜでしょうか
東山魁夷が、好きになって、その人が愛でたということが
頭にあるからでしょうか・・・


木から、気をもらいました
とても、うれしかった
また、そういう気持ちで、木にふれたいと、思います