青木義雄

横須賀美術館に、青木義雄の絵を見に行きました


マティスに、この男は色彩を持ってると
言わしめた、というのですね。


まず、飛び込んできたのは、「青」です


3年前の同じ横須賀美術館にて
海老原喜之助の展覧会があり、美術館が掲げていたのは
「エビハラ・ブルー」という、印象的な青です


海老原喜之助は、私を美術の世界に導いてくれたと言っていい
州之内徹が、好きだった絵として、記憶していました
「ポアソニエール」


確かにこのポアソニエールも、背景が青です


マティスという有名な画家は、青木が会ったとき
すでに、不動の地位を画家として、築いていて
マティスが評価したということで、青木の絵を
その町の画商がすべて買い取ったという、解説がありました


でも、マティス、名前はともかく
その絵について、なにも、浮かんでこないということが
ありました。ゆえ、泥縄なのですが、その日、横須賀美術館
図書室に行って、全集を開き、マティスのページを
眺めました


印象は、明るい、生命力のあるといったらいいでしょうか
画集ですから、ほんとの意味での迫力はわからないのですけど。


青木自身の絵は、風景が印象的です
公演、バラ園、港、自画像
自画像は90歳になったという自分も描いていて
印象に残りました


思うに、90歳の自分を眺めて、おそらくは
自画自賛、自分の絵を描いてきた道は、いいものだと
自己を肯定していたのだと、思うのです


バラ園を描いたのは、解説に、師であるマティス
旅だったこと、そのことに関連し、いわば、花を手向ける
という意味があると思われるとありました


自分を導いてくれた、師に、自分の絵で、花を手向ける
素直な心、まっすぐな気持ちが、伝わってきます


ちょっとまえに、読んだ本に、無名の画家の話がありました
自分の描いた絵を買ってくれた人が、生涯、自分の見えるところに
飾ってくれて、それを知っていた、息子は、その買ってくれた人が
旅だったときに、棺桶にその絵をいれたという話です
その話を聞いた、その画家は、画家冥利につきるなと、つぶやいた
というのですね


マティスは、きっと、青木が手向けた花を、うれしそうに
ほほえんで、見てるのではないでしょうか


青木にも、マティスにも、親近感を覚えた、休日に
なりました