藤田嗣治

パリで日本人の自分が成功するには
どうしたらいいか
ペンやエンピツでは、彼らにかなわなくても
墨で、筆を使うことで、勝ることができる
日本は黒を大事にしてきた。黒は日本の伝統の
絵にはかなわないだろう
だったら、白はどうだ?
自分は、白を色ととらえていこう


白で、何を描くか、肌だ


裸婦の美しい肌は、こうして、藤田が「新境地」を
開いたと、とらえられ、ときのサロンで評価されると
聞きました


パリを愛し、パリに愛された日本人
モンパルナスの、カフェでそのときの、元気のいい
画家たちから、吸収したものと、日本人である自分の
もってるものを、つなげて、成功させたとも
いえるのでしょう
おかっぱ頭、丸メガネ、ピアスというファッションも
こだわりでやっていたと、聞いて、また藤田の印象が
変わりました


女性像を背景に書き、自ら面相筆を握り、すずりも
傍らに置いた、自画像。これは、「売り込み」も
かねていると、解説はいいます
墨で描いた輪郭線をもて、女性を美しく表現する
そういうことができる、自分のセールスとしての
自画像、自身をポスターにしたといってもいい
事実、好奇心旺盛な女性からの、肖像画の注文が
多く来て、藤田は、売れっ子の画家になっていくという
解説があります


日本人で、パリを理解し、パリを愛した人
パリはこうした、個性を認めて、存在させる
包容力というのか、文化を愛する空気があったといって
いいのでしょう


女性を愛し、自分を愛した、藤田
とてもいい生き方に見えました


同行した、かみさんは、前に藤田をみたときは
そのナルシストふりが、目立って、あまり気持ちが
行かなかったけど、今回とてもよかったと言いました


つい、私はそれはかみさんが、成長して、ナルシストである
のは違いないけど、それ以外のいいところを、うけとる
空間を、あなたのなかにもったから、受け取った
そういうことじゃないかと、つぶやきました