温泉がくれた、あたたかさ

古い古い、温泉の里。ひとり、そこでいきいきと働いてる
女性がいました。彼女は思いました。「都会で忙しく
働いてる人が、たまの休みにこの温泉に来てくれる。
そういうとき、身も心もリラックスしてもらいたいな」
「この温泉、温泉の里の雰囲気に癒されて、元気に
なって帰ってほしいな」
とても、豊かな湯のでる、温泉で、自然とそう思って
心をこめて、仕事していました


ある日、背の高いご主人と、うってかわって、小さい
奥さんとが、彼女が働いてる温泉宿に泊まりました。
「ぼくらは、結婚25周年なんですよ」とうれしそうに
話してくれました。いい旅行になるように、いっそう
心配りができたらと、彼女は思いました


若い人に何かいいことを伝えたい。そんなことをよく
思うのです。そのご主人のほうが夕食のときに言いました


“「中学生くらいになると、自分のなかにもう一人の自分ができて
対話しながら、生きるようになる」と言われています
私もそう思います。できれば、もう一人の自分といい対話を
できる、そういう生き方をしたいと思います。いい対話が
できてる、そのことが、素晴らしいことに、つながると
私は思います。今日こうして、かみさんと過ごして
この人と結婚してよかったと、心から思います
そして、この場に居てくれるあなたが、きっといい人生を
送れるように、あなたの、中のもう一人のあなたと
いい対話ができるように、願います”


ご主人の話を聞いていて、少しほわんとしていた、自分に
彼女は気が付きました。
『自分の中にいるもう一人の自分。いつも自分をみていて
決してごまかせない、もう一人の自分。その相手から
今の自分をいいねと思ってもらう・・・』


ご夫妻が、宿をたつ朝。彼女は二人に言いました
先日の夕食のときのお話。自分のなかにあった気になって
いたことを、解きほぐす。いいアドバイスになりました。


彼女が語った言葉には、場所だとか関係だとか、まして
固有名詞なんてない。だけど、言葉が彼女を元気にした
そのことは、確かだ、そう感じた、夫婦ふたりは
とてもうれしそうに、笑顔になりました
そう、こうした感性を大事にしていこう、あなたも
私も・・・