山を見る

信州、小川村のアルプスを眺められる、丘の上に
立ったら、雪形がくっきり見えました


雪形というのは、山に残雪があって、その形が動物だったり
人だったり、花など、形にみえるというもので、
4月から6月くらいでしょうか、楽しめるものですね


一番わかりやすいのは、白馬、五竜岳の武田菱です
そうなんですが、5月の後半、小川村からみたそれは
もう消えかかっていました


もう十数年まえの話。それは、浅間山だったのですが
山をみるということは、できれば少し平地をはさんで
反対側の山に登るということが、一番その姿、全容を
みるのにいいんだということに、気が付きました
浅間山のマウンテンビューの宿に、泊まったときです
それから、近田さんの、「白馬の達人になれる本」から
アルプスの展望台というのを、たどって、歩いたりしています


今年の5月に訪ねた、小川村。そのときは、とても天気が
よくて、白馬山脈の、残雪がなんといったらいいか
くっきり、鮮やかでした。あまりに美しい、山だったり
景色をみると、言葉がでなくなるということがありますね
そうして、ずいぶん、展望台といっていい、高台に
佇んでいました


東山魁夷が、学生のとき、木曾あたりを、キャンプして
旅したということを聞きました。それから、風景画家として
生きることを、決めたということ。その風景を描こうと
決めた、そのことは、木曾の山を知ったということが
大きいと、自ら記述しています


奈良、唐招提寺の御影堂、襖絵について、題材を決めるときに
命をかけて、この日本にきた、鑑真のその魂をなぐさめるのに
日本の一番美しい場所、海と山を描こうと決めたと
書いています
その海と山にしたというのも、ずっと木曽の山を思いながら
いろんな場所の山を描いてきたということがありそうです


濤声 山雲


この絵を描くために、他の仕事は断り
日本中をスケッチして、準備したということ
その絵は、どこまでも、澄んだ心を映し、こちらに迫ってくる


東山魁夷が好きになったのは、信州が好きになったのと
同じくらいだと思います。そして、好きになって
東山魁夷がまた、信州を好きだということを知って
とてもうれしく思いました


唐招提寺の絵を、描くということを、自分の画家としての
ふしめといったらいいか、全身全霊をかけて、とりくんだのだ
そういうことを、感じて、その姿勢に、恐れ入りました


そうした、風景を描く、インスピレーションを
信州の山が、東山魁夷に伝えてるのだということが
また、感動を深くするものです


信州の山はいい。信州の山は、命をふきこんでくれる
そう感じます