ハプスブルグ展

600年間にわたり、ヨーロッパのヨーロッパらしい王室、
これぞ、ヨーロッパの支配層の姿、といっていいかなと
思える、絵、甲冑、等々


いつもながら、絵そのものよりも、描かれた人物の
人となり、その存在としてその社会にどう映ったのか
そんなことを、思いながら、展覧会を見てました

「存在感」という意味では、ハプスブルグ家の女王として
圧倒的といっていいものがあったと思う、マリア・テレジア
印象的です

マルティン・ファン・メイテンス(子)《皇妃マリア・テレジアの肖像》1745-50年頃、油彩/カンヴァス

マリー・アントワネットの母、16人もの子供を産み
激動の18世紀を生きたという女性。
解説には、軍隊が弱いというところを、補うために、兵士を養成する学校を
作り、外交がなにより重要ということで、世襲ではなく能力から
人物を抜擢して、その任にあたらせる。

今の時代だったら、やるべきことをやってる、ともいえるけど、18世紀
しがらみ、諸侯の利害のからみあったなかでそれを、やりきる
能力と、エネルギーに、あこがれる

たかだか、ひとつの美術館の美術史という観点から、主にみた
歴史ゆえ、女帝としての政治能力はもっと多面的に解析しなければ
片手落ちかもしれない
けど、この絵に描かれたような、存在感はあって
政略結婚で我が子が、泣くことはあっても、君臨したその存在は
永遠ではないか?


18世紀といえば、フランス革命がおこり、時代は王が統治するという
ことが、不可能な時代へ流れ込んでいた


その後、最後から二人目の皇帝という、フランツ・ヨーゼフ1世の肖像もみた
このいい感じのオヤジの絵をみて思ったのは、ヴィヴィアン・リー主演の
「哀愁」、ワーテルローブリッジにて、結婚相手の家にいき、その
一族を束ねてる、結婚相手のおじいさんのこと。


すべてのことに鷹揚にかまえ、まさに家柄のよさがでてる
しゃべりかた、ものごし、相手に対するまなざし、などなど


そんなふうに思えたけど、ひとめぼれした、奥方にはずっと
甘い、そんな皇帝だったとか・・・


こうして、ヨーロッパのいまはなき、王族のいろいろをみるのは
「今はもうない」ということが、興味と、関心をかきたてるところがある
そして、滅んでいったということが、さらに、気持ちを盛り上げる


美術は、アーティストがパトロンに抱えられて、存在しえたという
ことがあり、そういう存在としての、アーティスト、またアート
そのものの、歴史をひもといてみれば、明らか。


ご存じのように、貴族、王族といったパトロンは、近代化を境に
没落し、ビジネスで成功した、といった新たなパトロン
現れるのだ。


時代は変わり、アートも変わる
ただ、変わらない美しさというのを、知るというのも
やっぱり、「美」そのものを追いかけるのには、ほしいところです