仲間への手紙

今年の春、悲しい出来事がありました
仲良くしていた、仲間のひとりが、虹を渡っていってしまいました


こうしたことは、致し方ないこと
人間、生きていれば、いつかは訪れる、そういう出来事
などと、頭でわかっていても、心がついていかない
そういう出来事、です


そんななか、ふたつ、自分の心にむけて、してみたことが
あります


ひとつめ。仲間の家族に向けて、手紙を書きました
その仲間と過ごした時間、家族ぐるみで過ごした、エピソード
お互い、そばがとても好きだったという思い出
「泊りがけ」ででかけたときの、笑顔、ハプニング
話してくれた、言葉
そういうことを、できるだけ、たくさん、だけど
少しは読みやすいように、したつもりの、長い手紙を
家族に向けて、書きました


ふたつめ、共通の友人に手紙と、電話をして
いっしょに、仲間のことを、思い出しました
そう、その共通の友人の方。きっと私といっしょで
その仲間の話をだれかと、したかったに違いないのです
もちろん、家族はいるにしても、友人の家族は仲間その人
とはつながっていない。同じように仲間を慕い、友人として
つきあった、そういう人と、思いをさらしたかったのです


共通の友人が、語る人物像にふれて、うんうんとうなづき
また自分のなかの、その仲間のイメージをよりはっきり
思い出し、また話した、内容、影響をうけたこと
などなど、でてくるでてくる、思いのかけら、たち。


こうして思い出していると、おそらくは、ずっとずっと
今年虹を渡った人については、きっと語る時間があって
そういう意味では、決して、忘れることのない、そういう
存在として、自分のなかに残るのだと、思ったのです


それは、まるで、東山魁夷は、もう虹を渡って20年以上が
たっていますが、いまだに、その作品とそのまわりの
文章たちとともに、新しい印象とともに、私の心に
入ってきてくれたりしますが
今年虹を渡った仲間のことも、ずっとずっと
思いをもって、私のなかにいてくれる、そうなるのだと。


頭でわかっても、心が受け止められないこと
そういうことは、人間、持っていていいのではないでしょうか
いいえ、そういうふうな、思いのかけらたちを、もつから
人間の心は、奥行きができて、そして心は、喜びを
もっと強く感じ、悲しみがおこったときの、いろいろを
受け止めるのに、少しは準備できるような、そういう強さを
身に着けることができるのではないでしょうか


そう、ただの強さではなくて、こうありたい強さ
こんなふうに、心は痛みを感じながらも、厚みを
増していけるような、そういうしたたかさ、でしょうかね


今年の春は、家にいることが多かったこともあり
手紙が、とても、大事な友になりました


あらためて、虹を渡った仲間に合掌。