いい上司

先日、なつかしさを感じながら、20代のときに
お世話になった人、Aさんに電話をしました


就職活動をして、たまたま、といったらおかしいでしょうか
そのころ、人材を広く求めていた、銀行に入社し、その人と
会いました


人と話したり、なにかお願いしたり、つまりセールスの世界では
一応、自信があった、自分でした。それなりに楽しく
仕事をしました


ところが。銀行というのは、「紙、書類」であり、上下関係が
やっぱりきびしいところです
書類を作るという、地味であり、緻密なこと、というのが
苦手な自分、そのとき、痛感しました
銀行がお金を貸し出すとき、企業相手であれば、基本、稟議書
という書類を作ります。その書き方。いい加減に書いたら
そのときの上司、Aさんはどんな細かいことでも、見逃して
くれません


いま思い出すと、私に、今後のこうした書類を作るということの
基本を教えてくれたんだなと、思います
甘くみたら、だめだよ。そういう、気持ちで接してくれたのだと
思うのです。思い出せばそれは、つまりは、人間愛といっていい
後輩への、素晴らしいトレーニングでした


Aさんのことを、思い出したのは、当社にセールスにくる
銀行の方と話していたということが、きっかけです
その若い、銀行員さん。稟議書で苦労したことあるというと
まさに、そうですと、いわんばかりに、顔をしかめて
稟議書のあれこれは大変ですと、語っています


銀行員が、どうして、銀行員たるか?
そのアイデンティティといっていいことに、納得する
稟議書が書けるかということが、あるように思います
なんちゃって、いま、書きなさいといわれたら、はたして
わからないのですが。


それでも、たとえば、日本料理をする人が、包丁の扱いが
「きも」とか、大工さんだったら、木材を見極める力
だとか、そういう、「きも」の部分ってあるのだと思うのですが
銀行に勤めてる人だったら、稟議書じゃないかな。


さて、そうして、きたえてもらった、自分になにが残っているのか?
甚だ、少ないことかもしれないですが、書類に向かう
そして、その書類を見てくれる人に、向かう、姿勢というのは
少しだけ、そのA氏が残してくれたものがあるように思います


20代で仕事したことというのは、つくづく貴重だと思います
その時の上司のあれこれ、ということ、とてもそのあとの
仕事するということの、スタンスに関わると思うのです
書類うんぬんより、上司とは?はたして信頼に足るものか
そういうことが、身体に身につくかどうか
そういうことのように思います


いっしょに仕事していて、どうもこの人は、感覚がちがう
となったとき、はたと気が付くこと。おそらく相手は、いい上司に
恵まれてないのだ、そういうことがあります


おかげさまで、私はさっきから、話にでてくる、Aさんをはじめ
とてもいい上司に出会えたと、思います
いい上司というのは、いいところを引き出し、弱点と思うところを
いっしょに、トレーニングしてくれる、これにつきるのでは
ないでしょうかね。