楽しみはつなげていくもの

小学生のころだったと思う
父が持っていた、日本のいろんな場所を案内するシリーズの
本があり、そのなかで、自分が住んでる、神奈川、鎌倉の
紹介のところがありました


その序文?だったか、巻頭言的な、文章を作家の永井路子
書いていて、そのなかで紹介されてる、妙本寺だとか
瑞泉寺に行ってみようと思ったのが、鎌倉が好きになった
ひとつのきっかけです


ちょうど、自分が小学生のころ、川端康成は自殺していて
先日、自殺の数日後に、川端が、瑞泉寺の精進料理を予約していた
という話を知りました。川端は瑞泉寺を愛でていたようです


瑞泉寺はずいぶん、作家たちに愛されてるというのを
境内にある、歌碑に知ることができます


門にある、山崎方代の


てのひらに、とうふをのせて、いそいそと、いつものかどをまがってかえる


この歌は、暗誦しました


そんなわけで、鎌倉がすきになり、そのきっかけとなった
永井路子が好きになりました


永井の作品はいくつか、読みましたが、そのなかで、歴史小説、つまり
舞台設定自体を、たとえば、鎌倉時代、であるとか古代にということで
設定して、当然登場人物もその時の人でやるという小説がほとんどのなか
「あかねさす」という、現代小説があります


主人公は現代に生きてる、物語の当初は大学生、そして、だんだん考古学に
ひかれていくという設定なのですね。そのころ、ちょうど就職活動の前後だった
こともあり、主人公は女性ですが、少し感情移入しながら、読んだことを
思い出します


そして、舞台は、奈良県明日香村になり、明日香のシンボルといっていい
甘樫の丘の話がでます
甘樫の丘は、大和三山が見通せること、飛鳥時代の権力者、蘇我氏蘇我馬子
の館があったらしいということで、有名です


甘樫の丘に実際いってみると、甘樫の丘から、板蓋宮が見下ろせるということに
気づく、それは、本来臣下のはずの、蘇我が築いた館から、主人の家を
見下ろすということになる、あれ、変だぞ


そういうくだりが、このあかねさすのなかにあり、そのことを
確かめに、奈良まで行きました


そんなことを、何度かして、明日香はとっても好きな場所になりました
それから、作家がとりあげた、場所であり、言ってみればご当地小説を
読んだりして、その舞台に出かけるという楽しさを知ったのです


そのことは、だんだん、ひろがり、画家が描いたその場所に
行ってみたくなって、旅行先に選んだりは、とっても楽しい
旅行のやりかたです


楽しみは、みつけるもの
楽しみは、つなげていくもの
生きていての、わくわく感って、まだまだ、つながるのです