土井善晴 民藝の旅

我が家に、日本料理の本でとっても、立派なのがある
土井勝 基礎日本料理


この本は、村上春樹の「ノルウェイの森」のなかで
主人公の恋人が、つぶやく、本屋で一番立派荘な、日本料理の本を
買って、マスターした、という話から、そういう本を
自分の手元におきたいと思って、買った本です


煮出し汁のとり方、野菜、魚の下ごしらえのしかた
おちろん、いろんなお惣菜の丁寧な解説。
いまでも、たとえば、おでんを作るときなんか、調味料の数字は
この本を確認して、作ります


その土井勝さんの息子の、土井善晴さんが、NHKの番組で
民藝との接点を話をして、まさに民藝だなというものがある
里で、土地の人と、料理を味割るという番組を見ました


スタートは、京都の河井寛治郎記念館です
4年ほどまえに、行ったとき、特別な空間と思いました
なにが、特別なんだろう?
河井寛治郎、その人が設計したという、もと自宅であり
仕事をしたという、京都のその家は、いわば、「開いている」
のです
人によっては、毎日のように、通った人がいるという
人を呼ぶ家。河井の、しゃべった言葉を記録した
「炉端歓語」という本がありますが、その語ってる話を
思い出しながら、河井がすわったであろう、書斎に近い存在の
二階のコ^ナーにいたりすると、なんとも、その息遣いが
伝わってくるようです


かなり、長い時間をそこで、過ごしました


土井善晴さんは、伊賀の土鍋を作る窯元にて
土鍋でいっしょにご飯を食べます


土鍋というのは、なんて不思議な存在でしょう
その窯元の、土鍋がひとつ、我が家にもあるのですが
煮込みを作ると、確かに、火の通り方がちがうなと思うのです


土鍋で、時間をかけた、料理は、とびきり、おいしく
かつ身体にしみる、そんな気がするのです


手作りのもので、時間をかけて、作るもの
やたら、時間をかければいい、そういう乱暴な話ではなく
日本の土地の素材のよさがでるような、そんな食べ物を
その食べ物が一番おいしくなるようにしていただく


土鍋の火の通り方は、野菜を、魚を、肉を
一番おいしくしてしまう、魔法のように、思えてきます


土井善晴さんは、テレビのなかで、やさしい語り方と
とびっきりの笑顔で、その料理であり、作り手の笑顔に
応えていました
こういう人柄は、きっと、相手をひきたたせる、まさに
料理といっしょで、自分が自分がと、前にでていくのではなく
相手のいいところを、ひきだし、自分はそれにいい感じで
寄り添うことができる、そんな人だと、感じました


民藝の良さ、というのも、実際、そうなんですよ
つまり、作り手のなにかがでるのでなく
素材をいかし、品質のいいものを、地味に作り続ける
民藝の考え。その道具は、美しく、そして、料理をするだとか
それを盛る、器だとか、はたまた、生活のための道具たちである
わけです
まさに、素材、のよさをひきだすためにあるといっていい
素晴らしいことです