日本の色

縹色のきものに、深紅の帯
なんて、鮮やかな印象の姿になるのかと
上村松園の色彩の世界に、心躍る気がいたします


和装というのは、いま、日本人自身、身近では
ないというのが、正直なところでしょう
和装で、特にオフィシャルな場にでる
なんてことは、私は一度もしたことがないです
また、相手が洋装を好みましたから、結婚式だって
二人とも、洋装です


先週みた、上村松園の、美人画。この色彩の美しさ
和装の色の感覚は、実際、洋装のそれを、超えてるのだと
感じました


友人に手紙を送るのが好きです
そこで、ときどき、郵便局に行き、記念切手を
買うことにしています
ごく最近、手に入れたもの。伝統色をテーマに
したものがありました


(1)桑の実(くわのみ)色
(2)深緑(ふかみどり)
(3)水浅葱(みずあさぎ)
(4)金赤(きんあか)
(5)苺(いちご)色
(6)乳白(にゅうはく)
(7)豌豆緑(えんどうみどり)
(8)翡翠(ひすい)色
(9)石竹(せきちく)色
(10)薔薇(ばら)色

青、赤、緑、そして白。
こんなふうに、呼び方をいろいろ作ってる日本語って
やっぱりいいなと思います
そして、実は日常のなかの言葉としては、こうした
色の呼び方を、知らない、使わない、使えない
自分たちになってることを、少し残念に思います


お休みの日に、好きな信州に出かけました
そして、雨模様の天気になり、景色ということでは
山があまり見えなくて、いったん、残念と思ったのですね


そこで、よく休日自分たちがしてるとおり、美術館に行きました


信州には、東山魁夷が絵を寄贈したことで、できた
東山魁夷記念美術館があります
その今回みた展示のなかで「雲湧く峰」という絵が
ありました
山の、峰、から、湧くように雲がでてるような
そんな絵。その雲と、山肌の緑がとけあうような
グラデーションの美しさに、立ち止まりました


さて、美術館をでて、景色をみてみると
まさに雲湧く峰が、まわりにあるのです


画家が、美しいもの、として絵に描いて
その絵をみて、そのもとのモデルとなったものを
みて、美しさに気づくということは、よくあること
なのですが、改めて画家の目のもつ、すばらしさを
感じる出来事になりました


色を感じられること
色を、季節を、身近に思っていること
そういうことが、豊かな気持ち
みずみずしい感性につながっていくと、思えた
そんな出来事でした