演じること

ときどき、俳優って、すごいなと思う時があります
他人の人生を生きる。それを見せる


河合隼雄先生は、カウンセリングを解説した本のなかで
カウンセラーが、共感するということと、他人を演じる
というのは、とても近い要素がありますと
書いています


それが、そうだとしたら、俳優という仕事の面白さ、奥深さ
というのが、見えてくるとも思います


よく「対人援助」の仕事を自分はしてるなと、感じています
若い人を指導するということ。指導ということに、カウンセリングの
いくつかがはいらないと、どうも、うまくいきません


ときどき、指導ということ、ほんとに命がけでやるのだなと
感じることがあります。実際、指導される側にしたら
いま、この一瞬が一番、人生においての分岐点、だという
ことがあるんだなと、感じるからです


いま、ここで自分を客観視できて、ふんばれる
そういうことが、これからの人生で人を信じて、もう少し
耐えてみよう、そんな風に、思えるのか?


人間は基本的に、楽なほうへいきたがるものです
楽して、いけるなと思うと、それを続けてしまいます
日々葛藤があるなかで、誰かを信じて、誰かの信用を
継続するために、もう少し、やってみようとやる
そういう毎日の積み重ね、これが本当に大事です


そうだけど、そうした地味な努力を続けるって、けっこう
しんどいということも、あるでしょう
地味な努力をしなければ、実力はつかない
だけど、地味な努力、そうそう、目に見えて、成果って
見えないものです


俳優が、演技ということで、自分をトレーニングする
そういうことを、前にやってみたということがあります
ここに、「共感」との共通点という、ヒントがあります
まず、その演じる対象の、気持ちを理解するということが
でてくるでしょう
人の気持ちを理解する。自分に近い存在なら、できそうか
はたして、そうでないという場合どうするか?


河合先生は、小説でも映画でも、自分の思いもよらない人生を
たどった人を、うまく描いてるものというこがありますと
いいます。そうしたものを、読み、感じてみるというのが
勉強ですといいます


演じること。その人のことを、受け入れてみるということ
なかなか、奥が深いのです


私は、指導という観点で、演じてみるということに
また、最近、何度目かで、関心がわいています
演じてみる、ふりをしてみる、そういうことから
自分のなかのなにかを、変えてみたいですね