重要文化財

重要文化財の秘密という展覧会を楽しみました


竹橋の東京国立近代美術館は、結構「行き慣れてる」といっていい
美術館です。個々の常設展で、何回かみた、絵もありました


福田平八郎 「漣」
水辺が好きな自分としては、とてもなじみのあるといっていい
絵ですね
私は横浜に生まれ育って、今も鶴見川のほとりに住んでいます
水辺があるというだけで、気持ちが落ち着きます
この絵の、水の表現がすごく、シンプルで気持ちになじむ
という感じがあります
福田平八郎さん、ぜんぜん、他の絵を知りません
ちょっと、みたくなりました


重要文化財、絵の見方、評価というのが、時代によって
変わるということが、解説にあります
時代という意味では、戦時中であれば、「戦意高揚」といった
趣旨がすぐ浮かびますが、この展覧会のなかにも
ありました
安田靭彦 「黄瀬川陣」


おそらくは、作者は意図していないのだと想像するのですが
右隻の源義経の、緊迫した、といったらいいか、頼朝に
会うという、気持ちの高まりといったことの表現が
第二次世界大戦のさなかというなかで、戦意高揚にマッチ
するということで、世間が持ち上げたということですか?


こうした、時代が、というのは、上記のように戦争が
背景となれば、ほんとにきなくさくて、ちょっと困った
感じがありますね
そうなのですが、時代が、その背景になるというのは
避けられないといっても、いいとも、思います
もう12年がたつわけですが、東日本大震災は、世の中の人の
感覚を変えたといっていいこと、と、とらえます
こうしたことは、いいことも、みようによって、困ったことも
両方起こるといっていいでしょう


東日本大震災が、もたらしたことで、「感覚」が変わったなかで
覚えておきたいなと思うのは、「人と人がつながるって大事だ」
という感覚だと、思っています


川合玉堂 「行く春」
ほんの偶然、川の上流から、みた角度で、3つの船の水車を
みると、一番手前の船が、船首だけちょっと、2番目がもう少し
みえて、3番目にみえる船は、ほぼ船の半分くらいがみえる
という構図になってることに、気が付きました


こうした、リズム感について、おそらく川合玉堂は意識して
やったのだろうと思うのですね。こうした、遊び心といっていいもの
が絵にあるって、面白いし、好きになる要素です


絵を見る楽しみは、見る人の数あっていいし、自由でいいと
思います。どうしても国が決める、重要文化財なんてなると
固いイメージがあるのですが、もう少し柔軟な考えをもっても
いいんだろうと、思う、展覧会でした


この展覧会、後期に登場ということで、4月2日時点では出ていない人を
含めて、いろんな作家が好きです
特に川合玉堂鏑木清方上村松園荻原守衛といった人は
何度も見たいと思う絵、見ていて、なにかに気づかせてくれた
思い出の絵、そしてこれからも何度もみて、そこから
エネルギーだったり、なんらかの示唆がもらえそうな
そんな、すごいものとして、とらえてるといっていいです


そういう意味では、やはり、重要文化財になってるということの
意味って大きいなと、今思う、そんな時間でした