代行する

「自分がやったほうが早い病」
というのを、聞いたことありますか
後輩を育てるのに、自分がやっていた仕事をやらせてみる
そういうことを、どんどんできる人は、おそらくは人を育てる
ということが、うまくなると思います


ANAの教え方」 P.67 より


ANAでは、副操縦士を機長に育てるときに、「機長とまったく同じ
仕事をさせる=代行させる」方法をとっています。これを
「機長見習い(PUS:Pilot Under Supervision)」といいます
フライト前、天気図を見て飛行計画を立てるところから
フライト後のクルー解散まで、全行程において、副操縦士
機長として振舞います


こうした、ルールとして、見習いをさせるということも
いいと思いますし、ルールでなくても、自分の役割を誰かに
やってもらうということ、これは、とても後輩を育てるのに
有効だということがあります
そして、やってもらうとなると、そのことは、実際自分がやる
ことより、難易度が高いことが、わかります


代行することの、意味は、いろいろあると思います
責任を感じてもらう、自分事で物事を考える、などなど。


できれば、自分から、これをやらせてください、と、言ってきてもらう
これが、一番大事とも言えます


ここで、任せるということと、放任はちがうということが
また、大事なことです
同じ本には、大きな考えは伝えておくということが、任せることと
放任との差だという解説があります


文章で書いてしまうと、なかなか、一部分だけ、となりやすい
のですが、ここ、かなり大事なところです


大きな考えは、だしておく。任せるところを任せる
そうなのですが、伝えてる相手に、大きな考えが伝わらなかったら?
どうなのだ?となります


やっぱり「見通し」ということって、大事だと思います
この人は、こういったとき、必ず理解する、必ずではないにしても
一定の食いつきがある、そうした見通しがあって、はじめて
大きな考えを言って、じゃあやって、となるとも思います


ちょっと困ったことに、「効率化」の名前のもとに、組織で
働く人は、ぎりぎり、いいえいつも「足らない」という状況を
作ってしまっています
そこで、任せるといった、手間がかかり、ときにやり直しとなれば
もちろん、もっと手間であり、ときにはリスクを負うことを
やるのか?という議論があります


確かに、現場のリスクを持ち出すと、慣れない誰かにやらすのは
やめよう。これは、一般的なところかもしれません
だけど、それは、一定の期間、「年単位」でみれば、マイナスな
要素は必ずあるのです


最近思うのは、後輩を育てる、そうした工数を含んで、見積もりを
しなければ、正しいとは言えないのではないか?ということです
つい、これは「理想の話」と切られる、話と見えるかもしれません
いいえ、理想でなく、通常のことにしないと、会社の未来は
暗くなりますね


代行する。大事です
後輩を育てるは、必ず必要なことですから