佐藤忠良

群馬の人
木曽
魚商の女
常磐の大工


表情のいきいきしてること
これが、びっくりする
日本人の日本らしさを残して、こうした彫刻にして
評価された、最初だという、解説がある


群馬の人
ぱっとみると特徴がないようにみえる
日本人なら、こういう顔がいっぱいあるような
いいえ、見続けていると、顔が生きてるのだ
生きることに、誇りをもって、表情がいきいきしてるのが
伝わってくるのだ。間違いなく、生活者の顔
間違いなく、地域を、その職場をリードしてる人の顔


木曽。手ぬぐいを頭にかぶり、これまた
どこにでもいると見えるような女性の顔
でもみていると、なんともなんとも、表情豊かです
向かって左からみると、少し厳しい顔
向かって右からみると、ちょっとゆるんだ、笑ってるようにも
見える顔


生きてきた、今、生きてるという人がみせる
ちょっと複雑な、今を見てる顔と言えないでしょうか?


忠良さんの、仕事はどうして、こんなに人を彫刻にして
いきいきとさせてるのでしょうか?


おそらくは、「表現」の世界において、人が対象であれば
その人の生きてる、その人らしいところを、とらえて表現する
ということが、ほしいことです
そして、受け止める、表現者のほうの、受け止めるうつわといった
ことが、相手にしっかり伝わって、そのうつわに入るということが
あるのではないでしょうか


この展覧会、彫刻の展覧会ははじめてという若い方といっしょ
でした。ですが、その方はアートヒストリーに近い専攻を
大学でされていました


アートヒストリーは、なにが自分にとって、いいものか
美しいと感じるか、そうした感じ方の基準をもつということに
大事なヒントがあるのではと、感じることがありました


佐藤忠良の作り出した世界は、彫刻において、日本人の生活者
としての、たくましさだったり、着実さ、人に伝えるということが
巧みな人たちといったこと。日本人の体形、顔の作り自体を
どうどうと、表現し、鑑賞した人はそのことを、受け止めると
いっていい、内容じゃないでしょうか


アートにおいて、とくに19世紀20世紀と、つい、美術館に近いところの
あれこれだと、ヨーロッパを中心とした作家だったり、作品が
どうも「先進地域にいる」といったものとして、扱われがち
ということがあります


もちろん、日本美術の良さは、自分たちなりに感じてるところ
ではあります。具象の彫刻がロダン以降、ひとつ大きく、世界を
広げたといったいいとすれば、その道に近いところで、佐藤忠良
日本の良さ、日本人の良さ、それも体形、顔の作りから
日本人の良さを、アピールしたということは、とても意味のある
すばらしさがあると、感じるのです