小説を読むこと

自己啓発」という言葉からは
本を読むということは大切で、なにか
知識を得るための本だろうという連想がある


一方で、小説は「読み物」ととらえることができて
いってみれば、「娯楽」の類となって
いわゆる知識を得たりというのとはちがってくる


ところが「生き方」というキーワードでいうと
小説こそ、そのヒントが得られるものだという
見方もできるのではないか
尊敬する、河合隼雄先生が、人と話してその人に共感する
ということが、いかに大変かという話のなかで
ときに、小説を読んでその世界を知ることは大いに
勉強になると書いている


例えば、親子での人間同士のあつれきなど、自分におきかえて
わかるということもあるかもしれないが、なかなか
身の回りのことだけでは想像もできないことが
世の中で起こる。極端な話親が子供を殺すなんてことまで
起こる、いまの世の中、そのことを親身になって当事者の
気持ちに共感するのはものすごく大変だ
とても極端な例だったけど、人と向き合ってその人に共感することが
できたなら、いろんなことがうまくいくと思う
そして、実際いろんな人に会うということは
大事で、小説を読むというのは、本を通して人に会うという
ことになるだろうか


小説ではないが、人が書いたストーリィという意味では
最近では、映画の「おくりびと」がとてもよかった
主人公の親へのわだかまりが、いざ亡くなった親が
思い出の石をずっとにぎりしめて、亡くなったというその一点で
とけていくというところがとても、自然に見えて
こちらの心をあたたかくした
生きるって、いいことだと思える気がした
親子というきわめて基本的な人間関係のひとつの形を
ほんわり、感じてみた、いい作品だった


生き方ということを、いつも見つめることを
していたい。そしてできれば、生きててよかったと
思えるような見つめ方をしたい