思い出のマーニーという、好きな小説を思い出します
それは、「アンガーマネジメント」という言葉が気になりだして
怒りといった負の感情は、ときにその人を変えるという
エネルギーになるのだと、気づけるストーリィだと思うからと
気が付きます
主人公のアンナは、まわりの人に心を開けない、なるだけ
関わる人と距離を置くことを、している、してしまうという
設定になっています
転地療法という、ことで田舎にきて、そこで不思議なマーニーに
出会い、すごく大切な存在、友人というより、疑似恋愛と
いっていい、体験をします。さらにその対象に裏切られ
また、一度裏切られた人を許すという、ことを
体験するのですね
裏切られ、という負の体験、おそらくは、嵐のように
心のなかが乱れて、怒りの感情にも支配される
それでいて、許すという行為も経験する
ただ、好きになるとか、正の感情だけではおそらくは
変わるということはできなかった、と、見える設定に
人間の感情をもつということの深さだったり、複雑さ
というのを、感じます
人間、誰か相手を理解するとか、相手のことを受け入れる
というときに、いいところばかりをみていたのではできないのでは
そんなふうにも思います
さらに、感情というのは、面白いもの。負の面があるから
いいところも、くっきりでてくるということがありそうです
人間、誰かを好きになるように、嫌いになることも
あるのだと、それは知ってるようで、どうなのでしょう
嫌いという感情は、ときに、ヒントが隠れている
そんなふうにも思います
思い出のマーニーでは、自分のなかで、失われていたものを
とりもどす、といっていい、そういうことがストーリィを通じて
でてきます
こうした小説のなかで、再生だったり、誰か、重要な人と
再度つながるといったこと、親子がそうでしょう、夫婦も
そうかもしれません。そのことが、安心もするし、読んだあとの
読後感といったらいいか、いいものにしますね
同じ小説でも、時代も設定も違いますが、失われたなにかを
とりもどす、そうした安心感があるということでは、去年から
すきになった、小川糸の作品がそうなのだと、見えます
家族ということの、あたたかさをとりもどすというか、作り出すことが
できる、主人公。その生き方というのに、あこがれるという
読者が多いのではないでしょうか
人間、きっと、十代ではじめて、世の中の理不尽さとか
自分が自分で思うようには、行動できないもどかしさとか
見えてくる、生きるってことの、大きさ、難しさ、いろいろ。
誰かしら、助けを借りていい、そうしたいろいろに、ちょっとずつでも
挑戦し、自分の生き方というのをさがしていく、それがほしいところ
だけど、なかなか助けてくれるひとを、みつけられず、もんもんとする
それも、若いときに、ありがちなこと
迷うということは、悪いことでない
そんなふうに、思えるときまでひとつ、勝負かもしれませんね