楽しむこと

伊集院静 「ノボさん」を読む


正岡子規、ノボさんは、楽しむことの天才ではないか?
後輩がベースボールをしたいといえば、こころよく、個人レッスンをひきうける
毎日のように、客が来て、句会にのめりこむ。
食べること、食い意地は人一倍はっていて、おいしいものをいつも食べたい
知らない土地へのあこがれは、とても強くて、命をけずるようにして
日清戦争の戦地に行く


生きることというのは、ある人にとっては、夢中になることといっていいのではないか
何かに集中して、自分自身を輝くように生きる。それはイキイキしてるということ
ではないか?


人から、何かに夢中になって、楽しいという話を聞くと、ワクワクする
誰かのひいた、レールのうえにのっかって生きてるだけでなく、自分で
考え、自分で感じたことを、自らの足で歩いて、五感を使って実際に
飛び込むこと。そういうドキドキ感、ワクワク感を知ってほしい


人を喜ばせるのが好きだ。暮れに親しい取引先の人とお酒を飲んだ
そのとき、いつかやりたいと思っていたことを話した。そのやりたいこととは
ビジネスでつながる人を我が家に呼んで、いっしょに飲んで食べて、しゃべりたい
ということ。
実際自分の家に仲間を呼んで、食事すると店で飲むのと、全然別の親しさが
生まれると思う。もちろん店で飲むのだって、いい場合もあるけれど
ちがう、空間が生まれると思う


人と人が、いい感じで話したり、食事したりできると、いわばスパークするように
いい空間ができて、一人でいるときとは、全然ちがう自分のテンションがあると
思う。一対一だけでない、ふくすうのときもそれはそれでエネルギーが高まる
ときがあって、面白い。見方をかえると、そんな空間を作り出すということが
人とつきあうことの面白さであり、基本といっていいかなとも思えてくる


人間は、動物とちがって、クリエイティブで感情をもち、自分で自分を
育てることができる存在だと思う。だから、一番人間らしいといっていい
楽しんで自分を育てるということを大事にしたい。
人と人が作り出す、いい空間。ラポールの状態。またはペレジヴァーニエが
ある状態。そのことを、大事にしたい


そうするには、楽しむことでしょうと、思う
人と人がいい空間を作る。その楽しさ、良さをぜひ、味わってほしい
そういうお手伝いなら、私はできると自画自賛する


人間だれしも、どう生きるのかという命題を追っかけるものだ
どう生きると、大上段にふりかぶると、なにか「根性物語で鍛える」
といった、世界のほうに向いてるような気がしてくるけど
楽しむこと、楽しめるからこそ、続いていくということに
こだわりたいと思ってる