美しいもの

どうしても、自分の手元においておきたい
絵に対して、これ以上の賛辞があるだろうか
洲之内徹はいう。
この表現はわかりやすいと思った。
軽妙でわかりやすい文章。決して、誰それの言葉を
なぞってなどということはしない。だから小気味いい
この文章が好きで、絵を見ることに
肩の力が少しぬけた


どうしても自分の手元においておきたい
これって、言ってみれば、女性に対する
男のエゴといっしょだ
美しいものを、自分のものにしたい
男なら、ある独占欲、所有欲のことだ
そのことにふっと気が付いた
洲之内徹は、妻子があっても、別の女性との
関係がずっときれなかったという
いってみれば、大変そのあたりのけじめは
だらしのない方なのだ


ただ、全然もちろん直接はかかわりのない
いってみれば、本のなかのキャラクターとして
評するのであれば、美しいものに対する
自分の態度として、そのまま思うままの行動を
とってるといってもいいかもしれない


絵を、アートを好きになるということは
美しいものを好きになることだと
だんだん思ってきた
河合隼雄は、男女の間の性の関係は
たとえば、友情をこわし、もしかしたら
社会的地位をなげうってもなしとげていくという
強い力、激流といってもいいものがある
という解説をしてる


人間は、動物だけど、本能の生きる動物とちがって
理性があって、そうしたおおもとにある力に
対して、なにかしらでその力を昇華させるものを
めざすのだ
そうでなければ、ならないと思う
美しいものへの思い入れをもつというのも
その過程かもしれない
自分がめざすものをデザインしていければ
それこそ、「生きがい」といったものを見えてくると
感じ始めたのは、やっぱりアートに親しんだこと
もちろんアーティストの生き方に気持ちが
動いたことと、ほぼ重なると思う